あらすじ
――知ってるの?私が生まれた時のことを。
何か大きな秘密が、生きてきた世界に帰ろうとするのを引き留めている。
常照寺の住職夫妻の養女、蘭子は進学を機に家を離れる準備をしていたが、心の中では自分の居場所を失うことを恐れていた。
そんな時、蔵の奥で見つけた紅い花の絵を開いた途端、中国時代劇のような見知らぬ世界「天朝国」へ飛ばされてしまう。
蘭子を迎えた巫女、甘氏は確信を持って告げる。「お帰りをお待ちしておりました。間違いありません。あなたは呂家の小姐(おじょうさま)です」と。
現代へ帰るため、蘭子はかつての粛清で唯一生き延びた身内、異世界への道を開く呪力を持つという呂太皇太后に会いに都へ向かう。
しかし、都の延安では、さまざまな思惑が錯綜して蘭子を待ち受けていたのだった…。
ーー族滅されたはずの呂氏の生き残りが、今さらどの面下げて都(ここ)に来た。
ーー太皇太后の弱みになりそうな娘なら、何が何でもこちらで確保しておかねば。丞相には決して渡せぬ。
ーー天の配剤とは、実に面白いね。ここまで役者を揃えてくるとは。やはり彼女は本物かな。
ーーこの子が生き延びれば、もし太皇太后様に万一があったとしても、呂一族の血は絶えることなく未来へ繋がる。それが、結局この天下を救うことになるの。
果たして蘭子は、望み通り現代へ帰ることができるのか。