あらすじ
何の変哲もなく、ただの平穏を願っていた俺は、不慮の事故であっけなく命を落とした。
暗闇の中で音が反響し、肺に冷たい空気が押し込まれる感覚と共に目を開けると――そこは見知らぬ城の大広間。
深紅の絨毯がどこまでも伸び、重々しい空気が肌を押しつける。その先には紅くキラキラと輝く玉座があり、そこに座すは暗黒界、グランランドを統べる、炎の魔術を扱うことの出来る魔王、エンフェリオ。
炎を思わせる赤く長い髪を後頭部で結い、髪を留めている朱色の髪飾りが動く度に光を反射してキラキラと輝く。黄金に輝く竜のような瞳は冷酷さと威厳さを宿し、その素敵な美貌は見る者の理性すら奪う。ほのかに香る炎のような匂いが、距離を隔てているはずなのに何故か胸をざわつかせた。
傍らには悪逆非道で冷酷な悪魔の幹部たちが控え、床に突っ伏す俺だけが、場違いなほど弱々しい存在だった。
「面(おもて)をあげよ、人間。今日からお前は、私の配下だ」
魔王は俺に近付き、顎を人差し指と親指で持ち上げながらぽつりとそう言う。「人間など汚い種族」だといつも言っていたエンフェリオが、わざわざ人間に触れる理由が、幹部たちは分からなかった。
そして理由も説明もなく、俺はその日から魔王の側で暮らすことになる。世界の仕組みを学び、食事を共にし、時に外へ出る――拍子抜けするほど穏やかな日々に、「配下ってこんな楽なのか!」と内心ガッツポーズを決めた。
平穏を愛する俺には、これ以上ない至福のひとときだった。
――そう。“あの日”が、来るまでは。
とある日、灼けるような熱が体を襲い、全身が敏感になり、息が詰まる。視界が滲み、呼吸を求めても肺は焼け付いたまま。混乱する俺に、エンフェリオは低く、確信めいた声で告げた。
「やはりお前は、私の見立て通り、Ω(オメガ)、だったか、ふふ……とても面白い…………」
この世界には、α(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)という“第二の性”がある。
Ωは稀少で、番(つがい)となった相手としか子を成せない――そして彼は、迷いなく俺を抱き寄せ、熱を帯び、妖艶さを兼ね揃えた声を俺の耳元で落とした。
「お前は私の番だ。もう二度と、誰にも渡さない」
その瞬間から、過度な溺愛は過度な束縛へと変わっていく。俺は体内にGPSを埋め込まれ、その金属の冷たさと痛みを忘れられないまま、行動のすべてを監視される。外出には必ず魔王直属の側近が付き添い、自由は指の隙間から零れ落ちた。
燃ゆる炎を操る彼の手は、同じ熱量で俺を着々と縛りつけていく。
やがて、彼の腕の中で新たな命を宿す俺。
それは望まぬ鎖なのか、それとも世界で一番暖かな“絆”なのか――
「お前も、お前が孕んだその子供も、まとめてこの私が愛してやろう」
暗黒界と人間界の境界は揺らぎ、魔王の野望は目前に迫る。
魔王との愛を選ぶか、その愛を受け入れるか――その答えを知るのは、神ですらない……
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※本作品は執筆にあたりAI(ChatGPT)を活用して助言、補助を受けております。最終的な内容は全て著者自身が確認、編集したものです。