あらすじ

「すまない。心の中に別の女性への気持ちを残して君と夫婦にはなれない。本当に、すまない」 アナスタージアは、結婚式の当日、夫婦の寝室にやって来た夫クリフに沈痛そうな顔でそう言われた。 クリフは数日前から一部の記憶を失っており、彼が言うには、初恋の女性がいたことは覚えているのだがその女性の顔を思い出せないという。 しかし思い出せなくとも初恋の女性がいたのは事実で、いまだにその彼女に焦がれている自分は そんな気持ちを抱えてアナスタージアと夫婦生活をおくることはできないと、生真面目な彼は考えたようだ。 ずっと好きだったアナスタージアはショックを受けるが、この結婚は昨年他界した前王陛下がまとめた縁。 財政難の国に多大なる寄付をした功績として、甥であるクリフとアナスタージアの結婚を決めたもので、彼の意思は無視されていた。 アナスタージアははじめてクリフを見たときから彼に恋をしていたが、一方的な想いは彼を苦しめるだけだろう。 それならば、彼の初恋の女性を探して、自分は潔く身を引こう―― 何故なら成金の新興貴族である伯爵家出身の自分が、前王の甥で現王の従弟であるクリフ・ラザフォード公爵につりあうはずがないのだから。 「クリフ様のお気持ちはよく理解しました。王命でわたしとの結婚が決まってさぞおつらかったでしょう。だから大丈夫です。安心してください。わたしとの夫婦生活は、仮初で問題ございません! すぐに離縁とはいかないでしょうが、いずれクリフ様を自由にしてさしあげますので、今しばらくお待ちくださいませ!」 傷む胸を押さえて、アナスタージアは笑う。 大丈夫。はじめから、クリフが自分のものになるなんて思っていない。 仮初夫婦としてわずかな間だけでも一緒にいられるだけで、充分に幸せだ。 (待っていてくださいね、クリフ様。必ず初恋の女性を探して差し上げますから) 果たして、クリフの初恋の女性は誰でどこに住んでいるのか。 アナスタージアは夫の幸せのため、傷つきながらも、彼の初恋の女性を探しはじめて……

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小説を読もう2025/08/16
  • 現在の作品君を愛せないと言われたので、夫が忘れた初恋令嬢を探します