あらすじ
彩乃(あやの)は、他人の「失くしたもの」を集めることが癖になった女子高生。教室の隅、通り雨の跡、誰かの秘密の手紙――それらのかけらを硝子の小瓶に詰め、夜だけ開く「遺失物取扱所」に並べる。人はそこへ来て、自分の忘れた痛みを取り戻す代わりに、別の記憶を差し出していく。だが彩乃が拾う「欠片」には、いつしか彼女自身の名前でかすかな裂け目が生まれていく。やがて、笑顔の転校生・楓(かえで)が現れ、彩乃の硝子にひびを入す。二人の距離が近づくほど、彩乃が抱える「夜」と、その夜が生んだ秘密が光を帯びていく――。