あらすじ
おれの人生はどん詰まりだ。借金に借金を重ね、拾ってくれた会社にも不義理を働いた。もう引き返すことはできない。おれにはもう、この手しか残されてない。
そう何度も頭の中で繰り返しながら、おれは“道”と呼ぶにはあまりに心もとないこの山道を、ひたすらに歩き続けていた。ぬかるみ、倒木、湿気、枯れ葉、くすんだ色のそのすべてが肝を萎ませ、おれをその場に留めようとしてくる。だが、もはや躊躇はなかった。
「あっ」
ふいに足が止まった。ふと目をやると、一際太い木の幹にロープが巻きつけられていた。自然と目で辿ると――驚いた。その先には、白骨化した人間がぶら下がっていたのだ。
――首吊り、か。
おれはどこかほっとした。ここにも、おれと同じように人生が詰んだやつがいたんだな、と。