あらすじ
夏休み明けの北川高校1-Bに、黒縁メガネと長袖で素顔を隠した転校生、御影蓮が現れる。神戸の超名門、白嶺学院高校の制服をまとう彼に、クラスの本能は“やばい”とざわつく。男子が苦手で無口な藤咲七海は、彼の静けさの奥にだけ、美しさとやさしい律動を見つける。『どこかでお会いしましたか?』と書いた付箋は渡せないまま、胸の奥に名前のない気持ちが芽生え、なぜか頰に温かい涙が伝う。隠された過去と再会の予感が、日常を恋に変えていく学園ラブストーリー。貧しい家で妹を守る七海と、勉強はできないのに数理生物学の論文を読みこなす蓮。彼の正体、白嶺退学の理由、二人が過去に交わした“救い”の記憶――糸の先はまだ見えない。それでも、付箋一枚ぶんの勇気が、七海の世界をそっと更新する。等身大の青春と、ひと滴の奇跡。初恋の始まりを、教室の匂いと音で丁寧に描きます。