あらすじ
『たかが転校ぐらいで』
大人はそう笑って否定する恋だった。
プールの塩素の匂い。
美術室の埃臭い冷房の匂い。
蝉の声をかき消すような彼の笑い声。
駄菓子屋で食べたかき氷。
ひまわり畑に置いてきた気持ち。
蛍も二人で見たよね。
メガネザルとからかわれたトラウマから、人と目を見て話すのが苦手だった私に、色んな色のキャンパスみたいな感情をくれたのは優大くんだった。
すぐ耳まで真っ赤になるのに言動はマシュマロみたいに軽くて甘い。
彼の優しい気持ちは、私の頑なな心に混ざって綺麗な色をくれた。
「俺に絵を描いてくれないか」
転校する彼と私の、夏の匂いと受験、そして恋のはじまり。
全部、ぜんぶ、優大くんがくれた。
クラスの人気者
陣之内 優大
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人の目を見て話せない内気な優等生
津田 蕾