あらすじ
プロローグ
――この世界から、色が消えつつある。
正確には、人と人のあいだを満たしていた“感情の色”だ。
街を歩けば、笑うはずの顔は無表情に固まり、怒るはずの声は無機質に響く。
喜びも悲しみも、温度も味も、すべてが薄れていく。
それを人々は「感性喪失エモシス」と呼び、世界の病として恐れていた。
けれど僕――リク・ユノアには、まだ見える。
嘘は舌に苦みを落とし、怒りは視界に赤い光を走らせ、涙は夏の雨の匂いに変わる。
この感覚のせいで、僕はずっと「変なやつ」と呼ばれ、村の隅に押しやられてきた。
それでも、見えるものは見える。
――たとえ、見たくなくても。