あらすじ

呪術師。それは災厄を退け、人知れず民の安永を守る者。 現代の呪術師界を仕切る四大大家『四季咲《しきざき》』が一角、不香《ふきょう》家。「万物を不活性化する」という呪術特性を持つ不香家は、その特性を活かして封印師として活躍している。 梓はその不香の当主の娘だった。不香の術師として誰よりも優れた才覚を持っていた梓だが、周囲は跡目を梓の兄に継がせたがっていた。 暗黙の内に死を求められている梓は、年に一度、冬至の夜に行われる禍神封印の儀に『贄御子』としてこれまで五年連続で選抜されている。 かつて祖先が異界に封印した禍神を、命を賭して封印し直すのが贄御子の役目。大抵の人間は任の最中に命を落とす。だが梓は優秀すぎるが故に毎年この儀式から生還を果たし、逆に有能さを浮き彫りにしていた。 六年目の冬も、梓が贄御子に選ばれる。しかし梓の才能に嫉妬し、鬱屈した感情を持て余していた兄は、「梓にできるならば俺にだってできる!」と梓を出し抜いて贄御子の役目を奪取。梓を完全に日陰へ追いやるべく、意気揚々と禍神が封じられた異界へ踏み込んでいった。 それが全ての災禍の引き金を引くとも知らず。己の分を弁えることもなく。 「つまらん代役なんぞを送り込んで、せっかくの逢瀬を台無しにされたんだ」 「その二択を突き付け、実行するくらい、許されるだろう? うん?」 兄は任をしくじり死亡。兄に賛同し、儀式の場に馳せ参じていた一族の幹部達も軒並み惨殺される中、封印を解かれた禍神は異界から現世へ舞い降りる。 しかし禍神は、自由を謳歌し始めるよりも先に、梓へとある選択を突き付けた。 「俺の番《つがい》として契約を結ぶか。俺の敵《かたき》として果たし合いを望むか」 年に一度、封印のために異界を訪れる梓と刃を交わすことを楽しみにしていたという禍神。「お前を気に入っている」「そもそも封印を破って出てきたのも、お前と刃を交わすため」と口にする禍神を前に、梓は番として契約を結ぶことを選ぶが…… 「あなたの午睡を守れなかった。その責任を取りましょう」 当主に立つことを望まれなかった封印師の少女と解き放たれた禍神が行く、現代和風呪術奇譚。 ※短編版(数年前時間軸) https://kakuyomu.jp/works/16818093091140055862 ※「硯朱華」名義で富士見L文庫様より上梓させていただいた『華炎の葬奏』と同一世界観の作品になります。

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カクヨム2025/06/02
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