あらすじ
2045年——。
地球はまだ終わってはいなかった。
だが、その終わりは確実に近づいていた。
海は年ごとに濁りを増し、魚の数は減り続けている。
熱帯夜は一年の半分を占め、冬の寒さは消え、
雨は酸を含み、田畑の土を静かに蝕んでいった。
超温暖化の進行は止まらず、
地下水は減り続け、川はやせ細り、
都市の水道は毎月のように断水を余儀なくされた。
そんな中、人々は新しい“救世主”を迎え入れた。
家庭用水素発電機。
化石燃料に頼らず、太陽光と水で動く——と宣伝されたその装置は、
瞬く間に全国に普及した。
しかし、その副作用は致命的だった。
水素生成のための大量の水消費が、
ただでさえ逼迫していた水資源をさらに奪っていったのだ。
そしてある日、政府は苦渋の決断を下す。
「全国の水洗トイレを廃止」。
代わりに公布されたのは、前代未聞の政策——
「全員オムツ令」。
理由は「衛生と命を守るため」。
だが、その裏ではすでに、
巨大企業NOVAが排泄物を燃料化し、
エネルギーと人々の生活データを支配する計画を進めていた。
この時、人類はまだ気づいていなかった。
——それが救いの道か、終わりへの一本道かを。