あらすじ
如月綾音(きさらぎ あやね)、高校二年。彼女は短歌を詠むことでしか自分を測れない――夜毎、窓辺で小さな短冊に言葉を縫い、匿名掲示板『月詠(つくよみ)』に投げ入れる。彼女の言葉は深く、痛く、読む者の後頭部に冷たい影を落とす。やがてリプライの中から「同じ夜を持つ」匿名の少年が現れ、二人は互いの傷を交換するように詩を送り合う。だが仲が深まるにつれ、詩は現実の縫い目を引き裂きはじめる——忘れられた過去、学校の秘密、そして綾音自身の“真実”が夜の底から浮上する。
――これは癒しの物語ではない。夜を詠む少女が、言葉で誰かを救うことと壊すことの境界線を歩く物語。