あらすじ
澄川乃依は放課後にひっそりと“痛みの自販機”へ向かう――そこに投入された短い紙片(告白)を拾い、彼女はそれを「掬う」ことで他人の痛みを一晩だけ引き受ける能力を持つ。代償は小さな記憶の欠け。人の悲しみを救うたび、乃依は他人にとっての「必要な存在」になっていくが、やがて自分の過去と感情が段々と薄れていく。ある日、乃依が救ったはずの少女が消えた──彼女の痛みは消えていない。乃依は「本当に癒えたのか」を確かめるため、そして失われつつある“私”を取り戻すために、自分の痛みと他人の痛みの境界を探し始める。