あらすじ
リーベ・ディアーは、人間の恋愛感情を喰らう悪魔である。彼はその『食事』の為人間の中へ紛れ、生活していた。
ある日、リーベは花屋の店先で、極上のご馳走を見つける。
それは、黒が印象的な壮年の、人間の男。黒田栄人《くろだえいと》だった。
かけられていたサングラスが外され、見えたその瞳の奥。深い恋心と愛情の浮かぶ、優しさに満ちたその瞳に、リーベは一瞬にして目を奪われてしまった。
この男の心は、なんて美味しそうなのだろう。
それは、リーベにとって初めての感情であった。
栄人がその恋心を向けていた相手は、花屋の店主だった。だがその恋心はどうやら、栄人の一方的なものらしい。
リーベは思った。アレが叶わぬ恋であれば、喰らってしまおう、と。
リーベは、週に一度ほど花屋を訪れるようになった栄人へと近付き、声をかける。
「──花が、お好きなんですね」
サングラスでその色を隠した栄人の瞳が、リーベを見上げた。
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