あらすじ
王立演劇祭の最終日、ユリア・ノートンは王子の前で「断罪」され、婚約を破棄される。——翌朝、すべてが元通りに戻っていた。時計は八時を指し、王子の台詞も、聖女の涙も、拍手のタイミングさえ同じ。
三度目の朝、ユリアは気づく。世界は舞台で、運命は脚本だ。大広間の床下に隠された古代魔術《フォルトゥナ・スクリプト》。そこに書かれた「指示書」を、彼女だけが読めて、少しだけ“書き換え”られる。代償は自分の記憶。
ユリアはまず自分を侮辱する貴族の台詞を一文字だけ変え、笑いものにする。小さな“ざまぁ”は、やがて宮廷派閥の力学を崩し、王子の「正義」の空洞を暴き、聖女の涙の裏側にある国家機密へと繋がっていく。
記憶を削りながら台本を直すユリアは、毎朝の断罪劇を自分の演出に変え、最後の一行「この国は救われる」を書くために、人生最大の演技に挑む——。