あらすじ
雪に消える足跡のように――
名を遺さずとも、生は残る。
元治元年、京。
白装束の剣士・沖田静は、斬ることだけを生きる理由としていた。
だが、ある冬の夜、少年・矢野蓮、今村秋一と出会い、彼の刃は少しずつ変わり始める。
敵地への潜入、奪還、雪の路地での戦い。
かつては人を斬る笑みしか知らなかった剣士が、守るために刃を抜く日が来る――。
降り積もる雪は血の色を覆い、名もない者たちの記憶をも覆い隠す。
それでも、その背中を見た者が語り続ける限り、生は消えない。
やがて蓮もまた、白い影を追って雪の中に消える。
残された秋一が記すのは、二人の名なき剣の軌跡。
静かな筆が、雪よりも白い記録となっていく。
これは、声なき者たちのための物語。
読後、あなたの胸にも、消えぬ影が残るだろう。