あらすじ
「偽りの輝き」
~インポスター症候群を抱える女性の10章記~
『偽りの冠』
拍手の波が
私を押し上げる
けれど その波の底で
私は沈んでいく
ライトの熱が
肌を焼くように照らす
――見られている
暴かれてしまう
そんな幻に怯えながら
コーヒーの苦みは
私の口の中で
「運が良かっただけ」という言葉に
変わってしまう
鏡に映る私は
確かに笑っている
でも
胸の奥の声はささやく
「あなたは偽物だ」と
花の香りが
春の訪れを告げても
私はまだ冬の中にいる
溶けきれない氷のように
自分を信じられず
それでも
遠くで誰かが
私の名前を呼んでいる
光はまだ届かない
けれど
私は少しだけ顔を上げた