あらすじ
戦後三年、宮廷では人手不足から女性が要職を担うことも珍しくなくなっていた。若くして女官長となったエレオノーラ(ノーラ)は、日々多忙な職務に追われている。
その傍らで、なぜか女性職員から贈り物や告白を受けては柔らかく断る若き行政官、ルドルフ・カレンベルグ――通称ルディと、何度も顔を合わせるようになる。
回廊、中庭、文書庫……職務中に偶然出くわすたび、ルディは飄々とした笑みを浮かべ、ノーラはそっけなく応じる。しかし署名欄や会議の席で、彼の名が職務と絡み合っていることに気づくたび、避けられない距離が少しずつ縮まっていく。
やがて、宮廷の片隅で交わされるささやかなやり取りは、静かに二人の関係を変え始めていた――。