あらすじ
常闇市(とこやみし)役所の地下深くに、表向きは「原因不明の大規模インフラ障害への対応部署」として存在する、総務省自治行政局 第二特別災害対策室――通称『都市伝説課(トシデン)』。
彼らの真の任務は、人々の恐怖や噂が具現化した都市伝説――“怪異”の鎮圧と、その事後処理である。
後始末係に所属する職員、小此木 渉(おこのぎ わたる)。
彼の武器は炎でもなければ聖剣でもない。完璧に作成された公文書と、1円の無駄も見逃さない冷徹なまでの合理主義だ。
脳筋で大雑把な討伐係のエース・火澄華蓮(ひずみ かれん)が、今日も今日とて怪異と共に街を半壊させる。その尻拭いをするのが小此木の仕事。山のような請求書を処理し、関係者の記憶を「然るべき事故」として“捏造”し、膨大な被害報告書を完璧に仕上げる。彼の『忘却のハンコ』が捺印された時、報告書の記述は“真実”となる。
「あなたの討伐は常に予算超過です。その脳まで筋肉で出来た思考回路を一度CTスキャンで見てみたいものですね」
皮肉と毒舌を武器に、増え続ける赤字と戦う日々。
これは、血の通わない公文書で、血も涙もない怪異に挑む、一人の市役所職員の壮絶な残業(たたかい)の記録である。