あらすじ

それはまだ、人が「おろかさ」という情緒と可愛げを、かろうじて失くしていなかった頃のお話。  龍蒸機関と呼ばれる個人携行動力機械の登場により、和深(かずみ)大陸の生活は一変した。  人が個人で情報の読み込みと書き出し、超小型解析機関の携帯、一切の機械への動力供給手段を手に入れ、情報化と重商業化、資産貧富の格差が各地で生じた。  そんな時代、真っ当な人の世に居所を持てない逸れ者たちの姿があった。  彼らは各々のやり方で社会に参加し、接点をもつ努力をしていたが、どこかで「普通」と乖離し、奇妙な孤独と焦燥と罪悪感を抱き──あるいは、ある種の気楽さを胸に抱き、生きていた。  ──何かを成し得て、何者かになる。  そんなふうにもがき、足掻く逸れ者の一人……作家を目指す青年・宵村剋舟(よいむらこくしゅう)は、あるとき死んだ友人・暁星銀慈郎(あかぼしぎんじろう)から、遺言を託される。  どうも生前二人でよく行っていた馴染みのバーに、剋舟に相続してほしい一冊の手記があずけてあるという。  そして銀慈郎が遺した「暁星の手記」を手に入れた剋舟。  それは多くの思惑と人々を目まぐるしく巻き込む大渦へと発展していくことになる──。  一冊の手記を巡る騒動、そしてその先に待ち受ける巨大な陰謀へ立ち向かう逸れ者たちの、オムニバス小説。

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カクヨム
カクヨム2025/08/29
  • 現在の作品逸れ者たちの跫蹤 ─ 空に唄えば星は廻るか ─