あらすじ
罪と罰
罪と罰 ― 現代の街角にて
暗いアパートの蛍光灯の下
カップ麺の湯気だけが
孤独を慰める夜がある。
「特別な人間には、権利がある」
その妄想をスマホに打ち込み
匿名の海に投げ捨てるたび
心臓は早鐘を打つ。
だが――
血の匂いは消せなかった。
震える手、耳に残る叫び、
SNSに踊る文字列が
正義と狂気を分け隔てる。
「お前は誰だ」
「加害者か、被害者か」
「英雄か、卑小な人間か」
問いかけは刑事の声だけでなく
街のざわめき、
無数のアカウントのアイコン、
タイムラインの嵐となって迫る。
愛はまだあるのか。
無垢な瞳で「贖え」と告げる人がいる。
その優しさは罰よりも重く
救済よりも苦しい。
最後に声を張り上げたのは
取調室ではなく
夜の交差点。
群衆とスマホのレンズが
僕の告白を拡散する。
――罪は罰によって
ただ裁かれるのではない。
罪は罰を受けてなお
人を再び歩ませる。
雪が降りしきる刑務所の窓辺で
僕はやっと知った。
罪と罰は、
地獄ではなく再生の扉なのだ。