あらすじ
進駐軍占領下の昭和二十二年春。東京の隅田川にかかる厩橋そばのバラックに住む二十一歳の女性、横澤かつらは貧しいながらも弟の康史郎と助け合って暮らしている。
かつらは仕事場である闇市の食堂「まつり」で、酔いつぶれていた帰還兵の青年、京極隆を介抱したことから親しくなる。台風で壊れたバラックを直したり、一緒に映画を見たりしながら二人の絆は深まっていくが、戦争で家族を失い、残った弟が一人前になるまで自分の幸せは後回しだと思っていたかつらは、隆のプロポーズを断る。
頼りになるかつらの隣人たち、バラックの土地を狙う地上げ屋、隆をつけ狙う謎の男、康史郎の友人になる戦災孤児のきょうだい、思いがけない再会をした女学校の親友、意に沿わない縁談に苦しむ赤い銘仙の少女。
様々な人々とのふれ合いの中で、かつらは戦争で傷ついた隆の過去を受け止め、愛する人と助け合いながら自分も幸せになろうと決意し、少女から大人の女性へと成長していく。かつらの行動が自分と周りの人々を幸せに導き、かつらと隆も改めて結ばれていく。
かつらたちと共に生きる、昭和二十二年から二十三年にかけての東京下町の物語。
小説『一蓮托生(いちれんたくしょう)』https://kakuyomu.jp/works/16816700427499187961の改稿加筆版となります。
いちれんたくしょう~れんげのしたでむすばれて~
2025年5月に一部加筆、改稿しています。
本作から始まるコレクション「一蓮托生シリーズ」があります。
https://kakuyomu.jp/users/ootayasuko/collections/16816452219598683101
主な登場人物 (満年齢は1947年9月1日基準)
・横澤かつら(よこざわかつら) 21(数え年22)歳、女性。横澤家の長女で縫製工場と食堂勤務。主人公。
・横澤康史郎(よこざわこうしろう) 14歳(数え年15)歳、男性。横澤家の四男で中学二年生。副主人公。
・京極隆(きょうごくたかし) 25(数え年26)歳、男性。米軍の捕虜収容所帰りの印刷工。かつらの恋人になる。
・戸祭啓輔(とまつりけいすけ) 40歳、男性。元板前。両国の闇市の食堂「まつり」店主。
・戸祭征一(とまつりせいいち) 14歳、男性。中学二年生。康史郎の親友。漫画好き。
・山本槙代(やまもとまきよ) 41歳、女性。横澤家の隣人で縫製工場の同僚。
・大口徳之介(おおぐちとくのすけ) 32歳、男性。シベリアからの帰還兵。両国の酒場「墨田ホープ」店主。
・柏憲子(かしわのりこ) 21歳、女性。「墨田ホープ」の女給。かつらの女学校時代の友人。
・芝原葵(しばはらあおい) 17歳、女性。かつらの女学校時代の友人の妹。ピアノが得意。
・倉上義巳(くらかみよしみ) 55歳、男性。「まつり」の常連。浅草橋の卸問屋「倉上商店」店主。
・八馬司(やまつかさ) 28歳、男性。両国の闇市の雑貨店主。
・廣本久(ひろもとひさし) 28歳、男性。八馬の同僚。果物好き。
・カイとリュウ 八馬の手伝いをしている戦災孤児のきょうだい。康史郎と同年代。