あらすじ
中堅商社「葵菱商事」の食品原料部に勤める佐藤 健司(さとう けんじ)、32歳。
彼の武器は、世界中を飛び回り、泥臭い現場で鍛え上げたタフな精神と卓越した交渉術。
ある日、激務の果てに意識を失った彼が目覚めたのは、剣と魔法が支配する異世界「ミシュラ大陸」だった。
戦闘スキルも魔法の才能もゼロ。手元にあるのは、愛用のビジネスバッグと大量の名刺だけ。
途方に暮れる中、彼は玄関口の街「ルミア」で、豊作により値崩れしたリンゴが廃棄されるのを待つばかりという、非効率な現実を目の当たりにする。
「なんてもったいない……! これ、やり方次第で全部売れますよ」
腐패し既得権益にまみれた商人ギルドを横目に、ケンジは決意する。
生産者(農家)と消費者(市場)を直接繋ぎ、関わる者すべてが利益を得る──Win-Winのサプライチェーンを、この世界にゼロから築き上げてやると。
これは、一人の平凡な商社マンが、異世界の少女リリアと共に「サトウ商会」を立ち上げ、現代日本のビジネスフレームワークと「名刺交換」という儀式を武器に、やがて大陸経済を根底から変革していく物語である。