あらすじ
六月の雨の日。
放課後の校庭にできた大きな水たまりを覗いた主人公は、そこに映った友人の顔が「自分より先に笑う」奇妙な光景を目にする。
翌日、再びその水たまりを訪れた二人。
しかし水面から伸びた白い手が千紗の髪を絡め取り、底なしの闇へと引きずり込もうとする。必死に助けようとするも、雨水の下には無数の顔が揺らぎ、やさしく囁く声が響く――「こっちへおいで」。
やがて千紗は水に呑まれ、姿を消してしまう。
残された主人公は、その後も町のあちこちにできる水たまりに「先に笑う顔」と「友の影」を見るようになる。
水たまりはただの雨水ではない。
それは人の影に寄り添い、死者を呼び寄せる底なしの口だった。
次の雨の日、もしあなたが足元の水鏡を覗き込み、映った自分が先に笑ったなら――決して目を合わせてはいけない。