あらすじ
イワン・クラムスコイ『月夜』(1880)に想を得た作品。
幻想的なお話。
月明かりにほのかに浮かび上がる美女。
イワンの夢の女性。
画学生のイワンはアカデミーの唱える美術の考え方に疑問を抱いていた。
芸術は平等である。
新しい世界への胎動を予感し、仲間たちと歩み始めたイワン。
毎夜のように鮮明に浮かび上がる謎の女性。
農村に繰り出したイワンは、村の少女に「彼女」を見いだす。
少女はイワンの頼みを聞いて、満月の夜、森の中の水辺に現れる。
月の光が彼女を染めていく。
その姿に見とれながら、必死に彼女を描き出そうとするイワン。
けれど、描く線は月明かりに染まると消えていく。
焦りにとらわれる彼。
描いても描いてもその姿を写しとることのできない美女。
やがて、月は傾き、夜明けの声が聞こえる。
少女は姿を消し、紙の上にその姿を現す。
少女の失踪は、誰にも知られることがなかった。
人々はみな、少女のことを忘れていた。
イワンはやがて一枚の絵を描きあげる。