あらすじ
かつて世界を脅かした魔王は討伐された――はずだった。
だが魔界最深部「暗黒魔界・デスシュヴァルツ」では、なお不穏な鼓動が続いていた。
黒雷が走り、骸骨が震え、鎖に縛られた玉座に闇の影が現れる。
「ふははは……我が名は__あんぎゃぁぁぁぁぁ!!」
その口上は最後まで続かない。
爆速で飛来した一本の聖剣が、魔王の胸を即座に貫いたからだ。
復活から数秒で、魔王は再び塵となる。
この地は今や、魔王を蘇らせては即座に串刺しにする「全自動リスキル装置」と化していた。
それを管理するのは、銀髪のメイド・ヨグ。
無表情でストップウォッチを構え、復活から死亡までのタイムを淡々と計測する。
「記録、3.9秒。過去最速です」
通信魔法の向こうで、居候の男ルベルが子供のようにはしゃぐ。
「3秒台きたぁぁぁ!俺すげぇ!」
彼こそが“聖剣泥棒”と罵られる世界最強の魔術師。
聖剣泥棒という謂われのない(自称)罪を背負い、今はシュルズベリィ公爵家の書庫に引きこもるヒモ生活。
だがその生活にも、まもなく変化の兆しが訪れる。
没落した公爵家の令嬢__ベルナデッタ。
彼女の登場により、怠惰を極めた日常は大きく揺らぎ始める。
__公爵家のヒモ。
世界最強にして世界最低、クズニートの居候と、気高き没落令嬢の物語は、いま始まろうとしていた。