あらすじ
侯爵令嬢リシェル・エルセリア。
華やかな宮廷に育ちながらも、彼女にとってその世界は「黄金の檻」にすぎなかった。
裏切り、喪失、そして孤独。すべてを失った彼女が最後に選んだのは――人間界を捨て、魔王の領域へ足を踏み入れること。
そこは人の常識も理も通じない禁忌の地。
冷徹なる魔王ゼヴェリオスと、異形の側近たちが支配する漆黒の城。
人間でありながら訪れた令嬢を待っていたのは、嘲りでも拒絶でもなく、ただひとつの問い。
「……何を望む」
彼女の答えは決して揺らがなかった。
それは愛でも、名誉でも、復讐ですらない。
ただ、自らの意思で生きるための――新たな契約。
感情を捨てた少女と、感情を知らぬ魔王。
交わるはずのなかった二つの存在が、契約を起点に少しずつ歩み寄るとき、
世界の均衡すら揺らぐ物語が幕を開ける。
人間界の裏切りと、魔界の陰謀。
そして彼女の胸奥に眠る“まだ名のない力”。
リシェルは選ぶ。
誰にも縛られぬ、自分だけの未来を。
たとえその道が、世界の運命を変えることになろうとも――。
これは、すべてを失った令嬢が、
冷たい契約の先に見つけた「居場所」と「隣に立つ者」をめぐる物語。