あらすじ
秦野依里子は就職した不動産会社の同期・瀬戸秋良と付き合って三年近くになる。
秋良は営業マンとしてそれなりの成果を上げているものの、現状に満足していなかった。そんな秋良がハマっているのは「起業のための人脈作り」。ベンチャー企業の社長など、すごい肩書の人と繋がることで、自分自身もすごい人のように思えるようだ。
そんな秋良に対して、依里子は不信感を募らせていた。二十六歳という年齢もあり、秋良と結婚・出産という「普通」の人生を歩みたいと思う一方、裸一貫で起業なんかされて一文無しになってしまったら、という不安も拭えない。別れたいわけではないけど、起業なんかせず、これまで通り同じ会社で働き続けて無難な人生を歩んでほしい、と切に願う。
依里子は大学時代のバドミントンサークルのメンバーと仲良くしており、今でもLINEで頻繁にやり取りしている。結婚した、彼氏ができた、転職するなど友人たちのLINE報告に対して、自分の代わり映えのない生活に「本当にこのままでいいのかな」という想いが芽生える。
そんなときに、秋良と参加したセミナーで会ったのが、ベンチャー企業の社長である稲田だった。稲田は秋良と交流があるらしく「瀬戸君は、怪しげなビジネスにはまっているから気をつけたほうがいい」と依里子に忠告する。
本当に秋良と付き合い続けるのがいいのか? 好きなことや夢中になれることがない今の人生を送り続けるのがベストなのか?
依里子の心は揺れ続ける……。