あらすじ
これはダブル主人公の物語であるが、実は一つの実体の二つの側面を表しているにすぎない。
すなわち、第一の主人公、周揮彌は、第二の主人公、森芙美を男の側に裏返した人格なのである。
それとは逆に、周揮彌を女に側に裏返すと、森芙美になるとも言える。
揮彌は中国語の発音でhuimiとなるのに対して、芙美は日本語の発音でhumiとなる。
humiの中心に(私)を表すIが付け加わるとhuimiとなるように、huimiはhumiの自我を強調した存在形式ともいえる。
物語のタイトルの『弥勒の恋人』とは、上記の男女の「あの世の恋人たち」を意味している。
すなわち、周揮彌の「あの世の恋人」である服部恭子と、森芙美の「あの世の恋人」である山井謙吾を意味している。
周揮彌と森芙美という二人の男女は、生死を隔てる壁を越えて、服部恭子と山井謙吾という二人の男女と恋愛関係の強い絆で結ばれていく。
彼ら四つの人格の究極の願いは、生死を超えた時空である「弥勒の浄土」で再会し、彼らの恋愛を成就することにある。
弥勒菩薩の伝説に導かれて、生死を隔てる壁を越えた究極の恋愛が、ボルチモアと東京と済南で展開される。