あらすじ
科学文明が頂点に達した惑星「地球」。魔法文明が息づく惑星「ジルオール」。本来、交わるはずのなかった二つの世界が、未知の引力によって引き寄せられ、避けられぬ衝突コースを辿り始める。
ジルオールが誇る大魔法士ユクレアスは、惑星崩壊の危機を前に、一つの大魔法を敢行する。それは、衝突の衝撃をわずかでも緩和し、ジルオールの民を救うための苦渋の決断だった。
しかし、その神業級の古代魔法は、衝突の瞬間に地球で生を受けたばかりの赤ん坊――一樹(かずき)に直撃する。破壊の奔流の中、ただ一人魔法を受けた旧地球人となった彼は、時間の流れから切り離された石化のごとき眠りについた。
やがて、二つの惑星は激突。後に《世界崩壊(メテオ・インパクト)》と呼ばれる大災害により、地球の科学文明は完全に滅び去る。
それから八千年。二つの惑星は歪に融合し、一つの新たな星が生まれていた。旧地球は、強力な魔素が満ちる禁忌の地「魔大陸」と化し、ジルオールの民は、かろうじて生き残った大地で新たな国家を築いていた。
そして、永劫とも思える眠りから、少年が覚醒する。
彼は、魔大陸を調査中に偶然通りかかった歴戦の冒険者ルークと、天才魔女リリアナに発見され、「ルイ・グラント」という新しい名を与えられる。
忘れ去られた旧世界の最後の生き残りであり、8000年分の魔素をその身に宿す規格外の存在。これは、自らの故郷が魔境と化した世界で、過去を失った少年が新たな絆を見つけ、星の運命を揺るがす戦いへと身を投じていく物語である。