あらすじ
中世の日本とよく似た世界の物語。
麻岐国の守護代・新柄家に仕える五百瀬藤吾は、新柄家の嫡男・新三郎に虐げられていた。
ある日、新柄家に仕える国衆・沖沼が謀反を起こし、当主・尚時を殺害する。新三郎が総大将となって沖沼を討伐することになり、藤吾もその軍に加わる。しかし、戦は新柄軍の惨敗に終わる。
藤吾は戦から退却する際、敵の追撃にあって崖から転落する。肩に深手を負い、命からがらで山中をさまよっていると、やがて猟師小屋と思しき建物を見つける。休息に使えないかと様子をうかがったその時、何者かに襲われ、気を失う。
目を覚ますと、そこには山奥に似つかわしくない、上等な衣をまとった少年がいた。少年の言動にも奇妙さを感じつつも、共に過ごすうちに、姫君の不審な死が彼の背景にあるのを知る。二人は互いの運命に深く関わっていくことになる――。
※当初第5.5章として公開していた「沙南の医者が出奔するまで」は分離・独立させ、外伝に位置付けて「――奇獣流転前日譚―― その魚は水を求める」というタイトルで公開しています。
https://kakuyomu.jp/works/16818093082764996391
※本作は恋愛物ではありません(のでBLでもありません)。
※より構成をすっきりさせた改稿版もあります→https://kakuyomu.jp/works/16817330650992438643
※「中世日本風ファンタジー」と称していますが、物語を分かりやすくする等の目的から、いくらか近世(江戸時代)に寄せている部分もあるのでご了承ください。
用語解説
守護:幕府に任じられて各国を支配している。通常は幕府に仕えるために都に在住。
守護代:守護に代わって在国し、現地支配を行なう。守護の一族や家臣、あるいは有力な国衆から選ばれた。
国衆:守護や守護代が支配する前から各国の地域で勢力を持っていた土着の有力者。国人ともいう。次第に守護の支配下に組み込まれていく。
譜代直臣:代々主家に直属している家臣。五百瀬家は守護代・新柄家の譜代直臣。
※幕府や朝廷が物語に直接からんでくることはほとんどありません。
権力構造
幕府
| 都
守護
| ―――――――――――――――
守護代
/ \ 麻岐や斯野などの各国
譜代直臣 国衆
※作中の年齢はすべて数え年(生まれた時点を一歳とし、正月を迎えると一つ年を取る)、暦は旧暦です。
※長さの単位は
一寸=約3cm
一尺=約30cm
一間(いっけん)=約180cm
一段(いったん)=約11m
一丈(いちじょう)=約3m
※時間の単位は
一時(いっとき)=約2時間
半時(はんとき)=約1時間
小半時(こはんとき)=約30分
※昔の人の下の名前は、実名である諱(いみな)以外に仮名(けみょう)があり、生前はもっぱら仮名で呼ばれ、諱で呼ばれることはほとんどありませんでした(はばからずに諱で相手を呼んでいいのは主君や親ぐらい)。
本作の主人公の場合を例に挙げると、
五百瀬=名字
藤吾=仮名
春永=実名(諱)
となります。
※現代の日本と異なり、作中では元服=成人であり、年齢や子供に対する感覚も現代と異なってます。
※タイトル「その音を知る者へ」のヒント→中国の故事成語