あらすじ
「君のその綺麗な顔が、ぐちゃぐちゃになるところ、見たくないのに」
人の負の感情を形として捉えることのできる草《そう》は、小さい頃から周りの人間に変わり者として映っていた。児童養護施設では壮絶ないじめに耐えつつも、成長とともに絵を描く喜びを知る。その後、大切な人の死を受け入れられず、ビルの屋上から飛び降りようとしていたところ、偶然その場に居合わせた、同じく自殺志願者の乃音《のん》の言葉に心を動かされる。二人の死は互いの意思により、先送りされることとなった。
一方で、糸瀬弥生は常軌を逸したストーカーに日常を脅かされ続けていた。自分の大切なものを守るため、別れた恋人である相沢藤吾と協力し、二人で立てた計画を誰にも知られないよう慎重に進めていく。しかし、彼らの試行錯誤の末に訪れる結末は誰も予想し得ないものになってしまう。
モラトリアム期における草と乃音の駆け引きと、それを見守る者たちの心が絶望の淵でリンクする。