あらすじ
地球を文字通り真紅に染め上げた「全球戦争」から千年。人類はその生存領域を大きく縮退させながらも、辛うじて再興を始めていた。中でも〈ルーロード家による連合帝国〉と〈自由都市同盟〉は、地球表面を二分する勢いである。
この二大勢力の対立と再興の時代を支えているのは、皮肉にも、両勢力が共有する一つの壮大な神話だった。その神聖な遺産を巡り、彼らは熾烈な発掘競争を繰り広げているのだ。
その神話とは、かつて超科学によって人類を導いたとされる集団〈太陽の所有者〉の物語。彼らが遺した兵器は「神獣」として発掘され、その再臨は帝国にとっての祝祭となる。
アーカイブ学徒、リア・アークライトは、熱狂に沸く《メカゴリラ爆裂王》の発掘現場で、その神々しいとされる姿に「下品だ」という拭いがたい違和感を覚えていた。彼女の疑念を理解する、唯一の存在である恩師と共に。
だが、祝祭は一瞬にして惨劇に変わる。突如暴走を始めた神の獣は、祈りを捧げる人々を無慈悲に蹂躙。リアの目の前で、師は帰らぬ人となった。
両親に続いて師までをも《メカゴリラ爆裂王》に殺され、全てを失ったリアに、若く孤独な皇帝エミリオ一世がある問いを投げかける。
リアは皇帝の問いに答えるため、そして世界の巨大な嘘を暴くため、忘れられた辺境惑星ユリシスへと飛ぶ。そこで彼女を待つのは、あまりに矮小で、悪趣味な世界の真実だった――。