あらすじ

人付き合いを避け、図書室の静寂と本のインクの匂いに安らぎを見出す内向的な高校生、照井淳弥。彼の密かな慰めは、古いフィルムカメラで風景を切り取ることと、誰にも見せるつもりのない小説を書き綴ることだった。そんな淳弥がファインダー越しに捉え、小説の登場人物のモデルとしていたのは、クラスの中心で太陽のように輝き、女子バレー部のキャプテン兼セッターとして活躍する日向咲葵。住む世界が違うと感じ、決して交わることのない存在だと思っていた。 しかし、ある雨の日の図書室での偶然の出会いと、意外な共通の趣味が、二人の間の「見えない境界線」を揺るがし始める。互いの悩み――淳弥の自己表現への恐怖と、咲葵のセッターとしての重圧と親友との軋轢――に触れ、不器用ながらも言葉を交わすうちに、二人は互いにとって特別な存在になっていく。 淳弥は咲葵のひたむきな姿に勇気づけられ、自身の内面を投影した小説『境界線のハレーション』を文化祭の文芸誌に発表する決意をする。一方、咲葵もまた、淳弥の静かな言葉に救われ、親友との絆を取り戻し、高校最後の大会に挑む。 インターハイ予選での惜敗、そして文化祭。淳弥の小説は、言葉にならないエールとして確かに咲葵の心に届き、二人の想いは静かに重なり合う。ファインダー越しに見つめるだけだった眩しい光は、すぐ隣で微笑む温かな存在へと変わっていた。これは、静寂の中にいた少年と、喧騒の中にいた少女が、互いの境界線を越え、サイダーの泡のように弾ける、切なくも瑞々しい想いを見つけるまでの物語。

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カクヨム
カクヨム2025/04/07
  • 現在の作品ファインダー越しの、サイダーみたいに