あらすじ

あらすじ  絵里花は小学四年生の時、男を作った母に捨てられた。  のちに二人の娘を儲け穏やかに暮らすが、家計を支えるため、ずっと口説かれていた男を相手に夫を裏切る。  祖父の遺産で楽器店を開いた絵里花。だが好条件を得るために、業界関係者に身を委ねてしまう。  家族や店のため、あるいは自らの内より湧き出るやむにやまれぬ欲情に溺れて身を汚し続ける絵里花。  上の娘、絵菜の入学式で、絵里花は高校時代の吹奏楽部の恩師、杉崎と再会する。杉崎から青い手ほどきを強いられ続けた忌まわしい過去の記憶が蘇る。  杉崎は、二十年の時を経た絵里花がどのように成長したのかを確かめたいと所望する。  今や音楽界の実力者となった杉崎の欲望に応じれば、大量の発注を得て、傾きかけている店を救える。だがそんなことをすれば、若き日の苦悩を鋭く抉られる苦痛を味わうのは免れ得ない。悩んだ末に絵里花は覚悟を決めた。  ところが杉崎は、絵里花の熟成具合に満足がいかなかった、などと言って約束を守らない。このままでは大量の在庫と赤字を抱えてしまう。愛人でメーカーの営業担当の洋太も他人事のように相手にしない。絶望する絵里花。  翌日、洋太から電話が入る。絵里花が発注した楽器を別の学校に納品するよう、杉崎から指示が入ったという。  先生は私を見捨てていなかった。安堵する絵里花。  だがその時、大きな荷物と楽器を抱えた高一の娘、絵菜が部屋から出てくる。  杉崎の家に行ってきたと絵菜から聞いてすべてを理解した絵里花は愕然とする。  家族より大事なお母さんのお店はこれで大丈夫でしょ、私からの最後のプレゼント、と絵菜は言う。  店ばかり大事にする絵里花のせいでずっと寂しかった。そして、男まみれの絵里花にいつか捨てられると予感した。だからその前に先に捨てることにした。そう言って、絵菜は妹の里乃とともに夫に連れられて家を出る。  本当に大切なものはみんな私の手をすり抜けていってしまう、と絵里花は悔やむ。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/03/30
  • 現在の作品花の歌