あらすじ
独身を貫いてきた主人公、幸田美央(こうだ みお)は今年で89歳。資産を分ける兄弟もいなければ、家族もいない。残った資産は、早々に凍結するだろう。
そんな私が後悔してしまうのは、若い時に恋愛をしたかったということ。理由があって恋愛してこなかった私は、女という人生を送れなかった。
歳を取ってからガン患者となった私は、もうベッドから動くことすらできない。お見舞いをしてくれる人もいないから、常に孤独との闘い。ガン治療をしたって意味がない。
そんな時、美央は夢を見た。長い長い夢である。
夢の中にいたのは、見たこともない美少年、大澤直登(おおさわ なおと)がいた。彼は若くなった私の手を取り、優しく「おいで」と招く。
目の前に広がるのは、綺麗な海。しかも透き通ってて吸い込まれそうなくらいの海の香りがする。
「行こうよ」と手を引いたが、彼は悲しそうな目を向けていて――?