あらすじ
東京都の一角、高くそびえる壁に囲まれた無法特区――『アビス』。
そこは、暴力だけが支配する、現代日本に見捨てられた深淵。アビスで生まれ育てば、誰もが殺しを躊躇わない獣となる。
かつて、その最深部で"名無し(アノニマス)"とだけ呼ばれ、伝説として囁かれた一人の少年がいた。彼は守るべき幼い命のため、己のすべてを捨てて壁の外へ出ることを決意する。
名を「相沢祐樹」と偽り、平凡な青年として表社会に溶け込む日々。
彼の目的はただ一つ。アビスに残した子供たちが生きるための、莫大な資金を稼ぐこと。
その目的のため、彼は一件の裏依頼に辿り着く。それは、国内有数の名門女学院に通う令嬢・西園寺麗奈を、人知れず守る“見えない”護衛。
依頼主は、彼の素性を知る唯一の人物。彼が最強であることを知るからこその、特命だった。
平穏な学園生活の裏で、音もなく、影もなく、令嬢に迫る脅威を排除していく。
学園最強の不良も、プロの暗殺者も、彼にとっては路傍の石に過ぎない。
だが、誰も彼の本当の姿を知らない。護衛対象の麗奈でさえも。
これは、最強の力を完璧な日常に隠し、孤独な戦いを続ける守護者の物語。
彼の本当の強さと優しさに、世界はまだ、なにも気づいていない――。