あらすじ
1割:ノンフィクション
8割:フィクション寄りのノンフィクション
1割:フィクション
そんな感じのお話です
ふと目が覚めた。今、自分が病室のベッドに横たわっていることを瞬時に自覚した。
どうも死に損ねたらしい。
最後の最後まで自分の思った通りに事が運ばない。とことん計画性が無いのだ。どうも自分の体は、高所から飛び降りても死に至らない程度に頑丈なようだ。思わず乾いた笑いが口から零れた。
首を横に向けると、ベッドに備え付けられた手すりが見えた。拳を固く握ってその手すりを強く叩いてみる。一回、二回、三回・・・・・・。手すりの中は空洞になっているのだろうか。バイン、バインと金属音が鳴り、室内に反響した。
叩くのを止め、先ほどまで手すりに振えっていた拳を眼前に据えてマジマジと見てみた。
当然、叩いていた箇所が赤く変色しており、その箇所にジワジワと痛みが滲み、広がっていく。
間違いは無い。間違い無く、僕は生きている。
生を実感した瞬間、涙が溢れてきた。自分の拳の輪郭が次第にぼやけていく。
しばらくすると、重力に従い、瞳に溜まった涙が頬に流れた。
どうして、今、自分はこのような状態になっているのだろうか。
それを考えたところで、今以上に気分が落ち込むことは判り切っていた。
それでも。
瞳から零れる涙と同じように、思考は滑らかに、滞ることなく過去に遡る。
過去から現在へ。
何者でも無かった自分から、何者にもなれなかった自分へ。