あらすじ
新井匠は、東京での大学生活が――
静かで、単調で、せめて地元より少しは自由になる……そう思っていた。
しかし、彼を待っていたのは『恋愛実験台』という予想外の役割だった。
一人は、必ず商業デビューすると豪語するプライド高めの小説家志望。
もう一人は、皮肉屋な性格でタブレットを手放さないイラストレーター。
二人に共通するのはただ一つ。
作品に『リアルな恋愛経験』が必要だということ。
そして、そのサンプルに選ばれたのが――ごく普通の男子大学生、匠だった。
特別な才能なんてないと本人は主張するが、
彼の日常は次々と『恋愛実験』に書き換えられていく。
相合傘、二歩の距離、同じタイミングで振り向く……まるでカップルのように。
最初はただの『フィールドワーク』のはずが、やがて制御不能に。
神保町のカフェ、書きかけの原稿、皮肉に満ちたスケッチ。
そこで匠は気づく――恋も小説も、現実とお約束を混ぜ合わせるのが一番危険だということに。