あらすじ
暑い夏だった。|外縁《ふち》が虹色にゆらめく太陽が、ぼくらの頭上から絶え間なく光熱を放射していた。
「岩は|滑《ぬめ》るから気をつけなよ」
シュウは上体を捻って、こちらを見た。
「前見ないと危ないぞ」
ぼくの忠告は遅かった。彼は砂の上にぽっかり空いた直径三十センチほどの穴に、掃除機でちり紙を吸い込んだような音を立てて落ちてしまった。
「シュウ? ふざけているんだよな」
声をかけても、返事はなかった。次の瞬間、黒い穴が滑って来て、ぼくの足下でぴたりと止まった。
声を立てる間もなく、ぼくは漆黒の闇穴へ音を立てて吸い込まれた。