あらすじ
田中 音夢(たなか ねむ)、17歳。平凡で自分に自信のない女子高生。勉強もスポーツも人間関係もパッとせず、何をやっても優秀な姉と比べられる毎日に息苦しさを抱えていた。そんな彼女の心の奥には、誰にも言えない“倒錯した願望”が眠っていた──「強大な敵に敗北し、蹂躙されたい」という人には言えそうもないやつ。
ある日、音夢の前に謎の男・魚住 護(うおずみ まもる)が現れ、「魔法少女にならないか」と声をかけてくる。最初は怪しい勧誘と突っぱねる音夢だったが、毎日のように繰り返される魚住の説得──魔族の脅威や組織のシステム、先輩魔法少女の体験談など──を耳にするうちに、心の底にあった願望がむくむくと顔を出してしまう。「もしかしたら……魔法少女になれば、私の“夢”は叶うんじゃないか?」
ついに音夢は魔法少女「カナタ」として契約する。しかし彼女の戦いは想像していたものとは大きく違っていた。なぜなら、街に出没する魔族の中でも、彼女の前に現れたのは史上最弱の魔族──リブラ。攻撃は当たらない、呪文も威力がない、とにかく全然強くない。普通なら大歓迎の相手なのに、音夢にとっては大問題だった。
「あんたがそんなに弱いんじゃ、私敗北できないじゃん!」
敗北を夢見る魔法少女と、勝つことすらできない魔族。両者の奇妙な戦いは、いつしか漫才のような掛け合いへと変わっていく。
互いに欲望も立場も食い違ったまま、すれ違い続ける二人。
はたして音夢の“人に言えそうもない願い”は叶うのか。それとも、最弱の魔族と出会ってしまった時点で、その夢は絶望的なのか。
敗北を望む魔法少女と、敗北すら与えられない魔族が織りなす、ふたりの戦いが今、始まる──!