あらすじ
3年生のリョウタは、夏休みの宿題に「リコーダー演奏」が出てしまった。リズム音痴の自覚があるリョウタはどうしても逃げ腰になってしまう。自信をなくしかけた彼は、お盆を祖母の家で過ごすことになる。蝉の声、けん玉のリズム、そして雷雨の夜。自然に触れ、人と交わりながら、彼の中に少しずつ「自分だけの音」が生まれていく。
本作は、田舎でのひと夏の体験を通じて、子どもが“できない自分”を否定せず受け入れ、他者との関係のなかで変化していく様子を丁寧に描いた成長譚です。祖母とのやり取りや、周囲の人々の優しさがリョウタの心に響き、物語は静かにクライマックスへ向かいます。派手な何かは起こらない。けれど、確かに“何か”が変わる──。
読後には、小さな音や光にも耳をすませたくなる、そんな物語を目指しました。