あらすじ
朝子は鵜飼の篝火にピカソの光を見た
伊東住雄
梗概
学生時代が終わる頃、「また会えたらいいね」というメッセージと共に朝子は僕の前から突然去って行った。僕は色々心当たりを探したが分からないうちに朝子から会いたいとメールが届いたのは卒業して十年後の事だった。
朝子は実家の四国から来名し十年前の生活を引き寄せ僕たちは過去の世界に戻り、結婚十年目に飲むはずだったワインを飲みながら朝子の話を聞いた。彼女はその日部室で絵を描いていると部屋の灯りが消され暴漢に襲われる。友人の果歩と話をしてその場は取り繕うが妊娠していることが後日分かる。朝子は子供を産むか僕を取るかという選択をせざる得なくなり子供の命を選択して僕の前から去ったのだと昔の儘の部屋の物を投げ捨てて泣きながら話をした。そこには過去の事件を否定する彼女の姿があったがその不条理の世界に僕と朝子は立ち向かうしかなかった。
翌日僕たちは長良川の鵜飼見物のため岐阜に向かったが、僕は十年間に二度朝子の実家まで出向いたが結局会えず、のぞみという子供を知ることになる。
鵜飼見物を長良川の橋の欄干から遠く僕たちは見つめたが朝子は今まで直線的に過去の傷を抱えていたがそのことは非常に無意味なことだと言った。鵜飼の篝火が長良川の水面を走り手力雄神社の火祭りは縦横にさく裂した。その中に朝子はピカソのキュビズムによって光を見つけ納得するのだったが僕には納得は出来なかった。