あらすじ
ビルの谷間にある小さな喫茶店「カフェ・アロマ」。
マスターの志貴は、コーヒーを口にできないのに、その一杯で人の心を癒やす不思議な力を持つ。
帰りを待つのは遠く離れた山岳写真家・廉。しかし志貴の微笑みは、孤独な人形作家・理央の胸を切なく揺らす。
理央を温かく見守るのは、寡黙な整体師・奏太。
かつて「鉄人」と呼ばれ、日本記録を打ち立てながら事故で夢を絶たれた元アスリートだ。
穏やかな眼差しと強靭な心が、理央の傷を少しずつ癒していく。
パン職人の燕司は、突然 帰国した幼馴染み・洸に戸惑う。
飄々とした洸の裏には、誰にも見せない執着と後悔がある。
かつて彼は、想いを告げられぬまま燕司の身体だけを手に入れた。
志貴の影に縛られた燕司は、その歪んだ関係から抜け出せずに苦しむ。
それぞれの想いが交差し、甘くほろ苦いコーヒーのように心に落ちていく。
愛を知り、自分と向き合う日々が、今、始まる。