あらすじ
――プロローグ――
まだ天地が形を成す前、闇と光はひとつに混ざり合い、世界はただ静かに漂っていた。
そこに、二柱の神――伊邪那岐と伊邪那美――
が現れた。
海原を染める淡い朝霧のように、彼らの存在は世界の輪郭を少しずつ際立たせていく。
二人は互いに見つめ合い、言葉なくして心を通わせた。彼らの眼差しの奥に、創造への渇望と恐れが混ざり合う。
「共に、形なき世界に光を与えようか」
伊邪那岐の低く穏やかな声に
伊邪那美は静かに頷く。
二人が手を取り合うと、天地の間に渦巻く霧が揺らぎ、微かな光が差し込む。
海はその足元でさざめき、山はまだ影のように形を潜めている。世界はまだ未完成で、無数の可能性に満ちていた。
だが、創造の道は易しくはない。
喜びと悲しみ、希望と絶望が二人の前に交錯することを、まだ誰も知らない。
ただ、この瞬間だけは――二柱の神が
互いを求め、世界を生み出す決意をした、
静かな誓いの時だった。