あらすじ
最強勇者のなれの果ては──
三センチ段差で遭難するモフモフぬいぐるみ!?
VRMMORPG《エデン・フォース・オンライン》で世界を救い、神話を更新した勇者リリア。
ラスボス撃破の直後、ログアウトしたはずの“俺”は──なぜかゲームの中でぬいぐるみになっていた。
しゃべれない、動けない。
宝箱のフタすら持ち上がらない。
伝説の勇者は、一夜にして“インテリア”に格下げである。
……のはずが。
そこに現れたのは、記憶を失ったリリア本人。
彼女は無邪気に笑って俺を抱きしめ、頬ずりしながらこう告げる。
「今日からキミは──“ワン太”だね♡」
……いやそれ俺の黒歴史あだ名!?なんでよりによってそこを拾うんだよ!?
でも、近くで見る彼女は可愛すぎた。
上目づかいで名前を呼ばれるたび、胸が熱くなる。
ぬいぐるみの体じゃなければ、きっと心臓がもたなかっただろう。
──だが、本当にバグっていたのはこの世界のほうだった。
消えたセーブデータ、逆流する魔法式、復活する倒したはずの敵。
そして、どこかで“誰か”がこちらを見ている気配──。
ぬいぐるみの奥に眠るのは、存在そのものを削除する《バグスキル》。
「──これは、“書き換え詠唱”。この記録ごと、燃やす術」
黒い光が空を裂き、森を反転させ、風も音も時間すら消していく。
かわいいモフモフは、世界を終わらせる災厄の器だった。
勇者は記憶を失い、ぬいぐるみは声を奪われたまま。
それでも二人は転がり出す。
笑って泣いて、ドキドキして、そしてバグって削除して──
レベル999のモフモフ勇者が、封印された“勇者の記録”と世界の真実を暴き出す!
最後に告げられるのはただ一言。
──ぬいぐるみ勇者、世界を削除します♡ ……そして彼女の笑顔だけは守るために。