あらすじ
条文や掲示、儀礼に“意思”が宿る都市で、規則の霊《条霊》と対話し社会を守る部署――条霊監査室。
十二歳の書記官見習い・湊ユイは、言葉の順番と“お願い”の形で現場を動かす小さな交渉人だ。
最初の任務は、月曜なのに「日曜運休」を言い張る封鎖駅。ユイは“定義→目的→許可”の手順で臨時運行を引き出し、構内開放も「帰るための開放」と言い換えて収束へ導く。忘れ物台帳の所有権騒動は「代理占有」で外し、線路際の事故多発地点は“禁止”を“お願い”に置き換えて風向きを変える。
一方、ネットの噂が儀礼化して力を帯びた「幽霊駅」には、広報の冗長化と“無観客”運用で対抗。さらに三自治体同時のダム放流“偽合意”には、代償を伴う署名で撤回を勝ち取る。格上条霊との面会では「人柱」を「支え合い」へと言葉を更新し、季節ごとの誓いを取り決めた。
こうしてユイ、志摩課長、葉月広報、久遠監査官の小隊は、前線運用プロトコルを整備。次の舞台は沿岸工業地帯——古い就業規程がうごめく、より大きな“崩れ”が待っている。