あらすじ
「偽りの聖女よ、お前との婚約を破棄する!」
婚約者である王子から投げつけられたのは、あまりに冷酷な言葉でした。
両親もなく、ただ国の平穏だけを祈り続けてきた日々。私の聖なる力が、大地を蝕む微かな「淀み」を人知れず浄化し続けていたことなど、誰も知りません。
「力が弱いから」――その一言で、私の全ては否定され、居場所を奪われました。
きらびやかな王城ホールの中、嘲笑と侮蔑の視線に晒され、涙も枯れ果てそうになった、その時。
ホールの一角で、静かにこちらを見つめる一対の瞳に気がつきました。
隣国アストレア帝国より訪れていた、冷徹にして絶大な力を持つ『氷鉄の皇帝』。
彼がなぜ、私のような取るに足らない存在に目を向けるのか。その凍てついた黄金の瞳の奥に宿る、深い苦悩と渇望の理由を、私はまだ知りませんでした。
これは、全てを失った聖女が、世界でただ一人だけ彼女の真価を見抜いた皇帝陛下に出会い、その身に余るほどの愛を注がれて幸せになるまでの物語。
「君は、私がもらい受ける」
――その一言が、私の運命を永遠に変えることになるのです。