あらすじ
鴇坂家のたったひとりの生き残りの令嬢・晞子は決意した。
婿を取ろう、と。
ただしそれは、呪い殺されてもかまわない、たいそうな悪人でなければならない。
五匣。それは神代に神を封じたと伝わる、代償と引き換えに願いを叶える呪物にして、帝より託された神器。
五匣家の一、鴇坂家は血を代償に人を呪い殺す紅匣を代々守り継ぎ、帝都を守ってきた。
その血脈が絶えれば、束の間の平穏すら破られてしまう。
打算まみれで晞子が婿に選んだのは、前科六犯で数多くの上流階級の女性をたぶらかしてきた“死んでもいい”男、深景。
だがこの男、どうやらただの悪い男では済まないようで――?
これは、呪われし紅匣が結んだ、世にも稀なる婚姻譚。
かりそめの契りがまことの恋となる、血塗られた御伽噺。
※本作では、和風近代をモデルとしたファンタジー作品という背景を踏まえ、一部に現在では不適切な語句や表現等を用いておりますが、差別を助長・肯定する意図はありません。
【人物紹介】
・鴇坂 晞子(ときさか きこ/18歳)
五匣家の一、鴇坂家の令嬢。昨冬、当主に就任。人を信用していない。
・塞森 深景(さえもり みかげ/19歳)
晞子の婿候補としてやってきた青年。犯罪歴山のごとしかつ、貴婦人たちの若い燕として渡り歩いてきた。