あらすじ
暗号解読のスペシャリスト・栗澤薫は、言葉によって構築された完璧な世界に生きていた。しかし恋人のジャーナリスト・譲二が巨大製薬会社の陰謀を追う中で忽然と姿を消し、同時に薫自身も脳腫瘍による失語症を宣告される。
言葉を失うことは、言語学者である薫にとって死を意味していた。だが彼女は諦めない。譲二を救うため、脳に量子アンテナを埋め込む禁断の手術を決行。他者の意識に直接ダイブする能力を手に入れる。
しかし手術の代償は大きかった。語順は乱れ、単語は勝手に置換される。それでも薫は気づく―これは病気ではなく、譲二の無意識が送る暗号なのだと。
言葉を失った彼女が発見したのは、言語を超越した純粋なコミュニケーションの可能性だった。父から受け継いだ暗号解読の才能と、愛する人への想いを武器に、薫は意識の深層へと潜っていく。
果たして薫は譲二を救えるのか?そして言葉を失った先に待つ、新たな世界とは?
言語と意識の境界を越えた、愛と科学の物語。