あらすじ

たぶん、世界はもう手遅れだった。 遥か昔、空には数えきれないほどの星々が輝き、人々はその力を借りて奇跡を紡いでいたという。けれど、私が物心ついた頃には、夜空は煤けたように暗く、大地は疲弊し、生きることはただそれだけで、あまりにも重すぎた。 最後の「星織り」として生まれた私は、たった一人で荒野を歩く。失くしてしまった故郷のぬくもりを、守れなかった大切な人たちの笑顔を、この胸にもう一度取り戻すために。 そんな私の前に現れたのは、およそ仲間と呼ぶにはちぐはぐすぎる、世界の隅々からはじき出されたような者たちだった。 感情を知らない機械の少年。戦うことをやめた竜人の大男。故郷を追われたエルフの娘。そして、人の言葉を話す、ただの毛玉。 私たちは、傷つけ合い、疑い合い、それでも同じ鍋のスープをすすり、同じ屋根の下で眠るうちに、気づいてしまったのだ。 このろくでもない世界の片隅で、私たちは「家族」になれるのかもしれない、と。 これは、壮大な英雄譚ではない。 世界を救う物語ですらないかもしれない。 ただ、凍える夜に寄り添う誰かがいるだけで、灰色の世界にも色は灯る。 そんな、ちいさな真実を見つけ出すまでの、私たちの記録だ。

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カクヨム
カクヨム2025/08/21
  • 現在の作品世界で一番優しい終末